薬膳との出会いは、偶然のようで必然だった。日々の忙しさの中で、「体調がいまひとつ優れない」と感じることが増え、何か根本的に整える方法はないかと探していた。そんなとき、ふと目にした「薬膳」の言葉が心に引っかかった。
東洋医学の考えに基づく薬膳は、「食べることで体を整える」というシンプルでありながら奥深い世界。冷えや疲れ、ストレスといった日々の不調に、適切な食材を選び、自然の力を借りて少しずつ改善していく。それは、単なる食事療法ではなく、自分自身を知り、季節や体調に寄り添う生き方なのだと気づいた。


例えば、冷えやすい体質の私にとって、生姜や桂皮(シナモン)は心強い味方。ほんの少し加えるだけで、体の内側から温まる感覚がある。逆に、暑さに疲れたときは、苦瓜(ゴーヤ)や緑豆を取り入れて、余分な熱を取り去る。食べ物が、体調と密接に結びついていることを実感するたびに、薬膳の奥深さを改めて感じる。
これからも、薬膳とともに、自分の体と心に向き合いながら、毎日の食事を丁寧に選んでいきたい。そうすることで、季節の移り変わりを感じながら、より健やかで穏やかな時間を過ごせる気がするから。
そして、薬膳を知ることは、自分自身を深く理解することでもある。食材の性質を学び、体の声に耳を傾けながら食事を選ぶことで、自然の流れに寄り添いながら生きる感覚が生まれる。単なる健康管理ではなく、人生をより豊かにするための知恵。

一つ一つの食材のエネルギーが私の心を癒してくれる。
そして誰かの心も癒してくれる。
生き急ぐだけが人生ではない。
授かったこの身体とともに、ただ寄り添って生きればいい。